『闇の精神史 (ハヤカワ新書)』
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★書評続々!
・2023/10/25朝日新聞夕刊「エンタメ季評」(樋口恭介氏)
・2023/10/28朝日新聞朝刊「新書速報」(杉田俊介氏)
・2023/11/11東洋経済ONLINE(大澤博隆氏)
・2023/11/12Real Soundブック
・2023/11/13ダ・ヴィンチWeb
イーロン・マスクは、なぜ火星を目指すのか?
ロシア宇宙主義、アフロフューチャリズム、サイバースペース。ユートピアが失われた時、「外部」としての宇宙が立ち現れる。現代思想の、これが最先端!
19世紀末ロシア、独立直後のジャマイカ、サイバー空間――様々な時と場所に現れた、「宇宙」をめぐる思想とは。分子となって銀河に散らばる全祖先の復活を唱える者、自らのルーツを土星に見出し異形の音楽を創り出す者……。果てなき頭上の漆黒に、人は何を見るのか? 現代世界にうごめく、〈宇宙〉という思想を領域横断的に俯瞰する一冊。
【目次紹介】
第1章 ロシア宇宙主義――居住区(コロニー)としての宇宙
第2章 アフロフューチャリズム――故郷(ルーツ)としての宇宙
第3章 サイバースペース――もうひとつのフロンティア
終章 失われた未来を解き放つ
【本書抜粋】
“この世界の外側に、まったく別の新しい世界が存在する、という主題に近代以降の人間は遍く取り憑かれてきた。それこそ無意識的な強迫観念(オブセッション)のように。〔中略〕私たちの外側には様々な形で想像=創造された「宇宙(スペース)=空間」が存在する。だが、その表象やイメージは時代や制度によって絶えず変遷していく。現実世界の外に位置する空間(スペース)はまた、ギリシア語で「どこにもない場所」を意味する「ユートピア」とも呼ばれてきた。それでも、そうしたユートピアであってさえ、〔中略〕現実社会における所与のイデオロギーやテクノロジーを少なからず反映したものにならざるをえない。空想の内側だけならまだしも、現実空間にユートピアを実際に打ち立てようとすれば、なおさらであろう。その意味では、あらゆるユートピアの試みは、ほぼ不可避的に現実世界との抜き差しならない相克や葛藤をもたらす”(本書4~5ページ)
“いかにして現行の社会を「持続可能」なものにするか、といった観点からしか未来を思い描くことができない現代の闇の中にあって、それでも時間に断絶をもたらすユートピアを、言い換えれば私たちの「既知」の外部に広がる様々な空間=スペースを構想し切り拓くことは、果たしてどのようにすれば可能になるのだろうか。たとえば、イーロン・マスクによる宇宙開拓の試み、民間航空宇宙企業のスペースXを立ち上げた背景には、そうした「持続可能」な未来は幻想でしかなく、実のところ「持続可能」ではないのではないか、という問題認識が深く関わっているように見える”(本書6~7ページ)